目 近視
本来は網膜で合うはずのピントが、その手前で合ってしまい、近くはよく見えても遠くがぼやけて見えるようになる症状が近視です。眼球の奥行きが長すぎる軸性近視と、角膜やレンズの役割をする水晶体の光を屈折させる力が強すぎる屈折性近視が原因です。発症や進行には遺伝的な要因が関係していると考えられています。
遺伝的な要因に加え、成長期には眼球が発育して眼球の奥行きが長くなるため、近視になりやすいと考えられています。また、テレビゲームに熱中したり、本を目に近づけて読んだりすることで目のピント調節を行う毛様体筋が疲弊し、近視が進行するともいわれます。一般的に近視は学齢期に最も進行することから、学校近視と呼ばれています。
パソコンなどのモニター上では、たくさんの小さな点が密集して文字や画像を構成しています。この点は1秒間に数十回という速さで点滅しているため、モニターを見続けることで目が疲労します。このようなことが続くと、水晶体の光を屈折する力が強くなりすぎて屈折性近視になることがあります。仕事や趣味でパソコンを使う人に、このパソコン近視が増えています。
眼球の奥行きが長すぎて起こる軸性近視の多くは、遺伝によるものです。しかし、うつぶせやあおむけの姿勢で本を読んだり、照明の薄暗い所で勉強や細かい仕事をしていると、軸性近視を促進する恐れがあります。
精神的なストレスが強いと自律神経のバランスが乱れ、筋肉の緊張や血行障害が引き起こされます。この影響が目に及ぶと目が疲労して視力が低下し、近視になる場合があります。
加齢とともに起きやすい白内障は、水晶体が白く濁り、進行すると視界がぼやける疾患です。とくに水晶体の中心部が濁ると、屈折力が増して遠くの物にピントが合わせにくくなります。また、瞳から入る光の量を調整し、目に栄養を供給するぶどう膜の炎症や、視神経の疾患によっても視力が急に低下することがあります。
近視は、近くは比較的よく見えますが、遠くの物はぼやけて見える症状が起こります。また、近くを見る作業を続けることによって毛様体筋の異常な緊張状態が続くために、一時的に近視になることがあります。その状態を偽近視(仮性近視)と呼んでいます。このような状態が長く続くと、近視の症状が常習化し、近視を進行させる恐れがあります。
テレビゲームは30分、勉強や読書は1時間ごとに15分程度休憩をはさみ、目を休ませましょう。目の疲れをとる体操やマッサージも効果的です。また、蒸しタオルをまぶたの上にのせると血行が良くなりスッキリとします。
日頃からストレスを溜めないよう、自分なりのストレス解消法を見つけるとともに、少なくとも6時間以上の睡眠をとるようにしましょう。また、目の血流が悪くなることが視力の低下に繋がるともいわれていますので、体を冷やさないように気をつけましょう。
暗いところで物を見続けることは目の疲れの原因になり、近視を引き起こす場合があります。勉強や読書をするときは、書物などから30cm以上目を離し、適度な明るさにしましょう。6畳程度のスペースでは40Wの蛍光灯1本か60Wの白熱灯3個分が目に最適といわれています。長時間読書するときはこれより明るめにするか、部分照明を活用しましょう。
①パソコンの画面を15度程度うしろに傾け目線より少し下にする、②画面から40cm以上離れて使用する、③スクリーンフィルターで画面の反射を取り除く、④文字色と背景色のコントラストが強すぎないように調整するなどパソコン使用時の環境を改善し、目の負担をやわらげましょう。
使っているメガネやコンタクトレンズで視力が落ちたときは、近視が進行している可能性があります。度数の合わないメガネやコンタクトレンズをしていると、目が疲労し近視が進行しやすくなると考えられていますので、眼科できちんと検査を受け、正しい度のレンズで視力を矯正しましょう。
コンタクトレンズを装用していない人は、ビタミン類が多く含まれた点眼薬、ピント調整機能を改善するネオスチグミンメチル硫酸塩が含まれた点眼薬や、涙と同じ成分の塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムが含まれている点眼薬など自分に合ったものでケアしましょう。さらに、ビタミンB、B、Bが配合されたビタミン剤も効果的です。また、コンタクトレンズを使用している人は、目薬の成分によってはレンズに吸着して影響を及ぼす恐れがありますので、涙と同じ成分が含まれている点眼薬で目を優しく潤してあげましょう。
近視の人は、視力の変化を知るためにも、定期的に眼科に行くことは大切です。視力の大幅な低下は近視以外にも重大な目の疾患が隠れていることがありますので、とくに急に視力が低下したときは早めに眼科で診察を受けましょう。また、強度の近視の場合、網膜剥離を引き起こすことが多くなるといわれています。近視が強い人は、必ず定期的な眼科検診を受けましょう。
検査をしても目に異常がないのに、視力低下や色覚異常などの症状があらわれる子どもが増えています。小学生くらいの子どもにみられ、とくに女児に多く発生しています。 これは「心因性視覚障害」といわれ、心理的なストレスが目の機能に障害をもたらしているものです。 周囲が温かく接し、眼科を受診して原因を調べてもらうとともに、ときには心療内科などを受診して経過を診てもらうことが大切です。