女性特有 性器の痛み
性器の痛みは、外陰部の痛みをさします。排尿時や性行為の後に起こるものなどがありますが、主な原因は細菌による感染です。デリケートな部分の痛みだけに、病院や薬局にも行けずに一人で悩む人も多いのですが、放置していると不妊の原因になるような疾患もあります。気になる症状があれば、すぐに対処することが大切です。
腰回りがきついローライズジーンズや、下半身を締め付ける下着を着用していると、衣類が性器に食い込んで、痛みます。とくにこれらの衣類を着用したまま長時間座ることで痛みが出やすくなります。また、性行為時やその直後に起こる痛みは、十分に潤っていない状態で挿入したことや、コンドームの刺激などが原因と考えられます。
性行為で尿道炎や性器クラミジア感染症、淋菌感染症、性器ヘルペスなどの性感染症(STD)に感染すると、数日の潜伏期間を経た後、症状の一つとして排尿痛があらわれることがあります。その他睾丸(こうがん)炎では、睾丸に強い痛みが起こります。
尿道炎は男性に多くみられる疾患です。原因のほとんどは性行為による淋菌やクラミジア菌などの感染で、尿道に急性の炎症を起こします。淋菌の感染では尿の出始めに焼け付くような性器の強い痛みとともに、黄色い膿が排出されます。クラミジア菌の感染では尿の出始めの軽い痛みやしみる感じとともに、淡黄色や白色の膿が少量排泄され尿がにごります。放置しておくと尿道が狭くなり、排尿が困難になることもあります。
クラミジアという細菌による性感染症で、女性の性感染症では最も多い疾患です。女性ではおりものが多少増える程度の軽い症状のため、感染に気がつかず放置し、進行してしまうケースも多くあります。進行すると他の臓器にも炎症が広がり、不妊の原因となることがあります。男性が感染した場合は排尿時の軽い痛みやしみる感じとともに、淡黄色や白色の膿が少量排泄されます。男性の場合も放置しておくと、炎症が周囲に広がり、精子が通過できなくなる障害を起こすため、不妊の原因になります。
淋菌という細菌による性感染症です。女性は顕著な症状があらわれることが少なく、感染から数日後に外陰部のかゆみやおりものの増加が起こる程度です。見過ごすと炎症が尿道や膀胱に広がり、排尿時に性器に痛みを感じるようになります。また、不妊の原因になったり、妊婦が感染すると、新生児が失明する危険もあります。男性の場合、尿道が感染することで尿の出始めに焼け付くような強い性器の痛みとともに膿が排出されます。放置すると炎症が周囲に広がり、不妊の原因になります。
性行為などによる単純ヘルペスウイルスの感染によって起こります。感染すると、性器にむずがゆさがあらわれます。その後、痛みとともに外陰部に小さな水ぶくれが生じます。この水ぶくれが破裂すると激しい痛みを感じ、そのために排尿や歩行が困難になることもあります。過労やストレス、性行為などが引き金となって再発することが多く、8割の人が1年以内に再発するともいわれています。
ウイルスや細菌の感染によって、睾丸に炎症が起こる疾患です。睾丸が硬くなって腫れて、強い圧迫感と痛みが生じ、40℃近い高熱が出ます。また、吐き気や嘔吐をともなうこともあります。成人してからおたふくかぜにかかると、この睾丸炎を合併することが多くあり、まれに精巣が委縮し、精子をつくることができなくなります。
性感染症は、正しい知識を持ってパートナーとともに予防していくことが大切です。性感染症を防ぐためには、コンドームの使用が一番現実的で確実ですが、行為によっては防げない性感染症もあります。くれぐれも注意しましょう。
性器に激しい痛みが起きたときはもちろん、軽い痛みやかゆみ、尿やおりものの異常などが起きたときは、男性は泌尿器科、女性は泌尿器科または婦人科で早めに診察を受けるようにしましょう。
不妊を引き起こす性感染症の代表格は性器クラミジア感染症で、不妊に悩む女性の約半数にクラミジアの感染がみられるといわれるほどです。なぜこれほどクラミジアが蔓延するのか。それは、自覚症状が少ないからという他にありません。感染に気付かず、放置しているうちに感染が膣から子宮や卵巣などに拡がっていくのです。一方、男性の場合は性器の痛みやしみる感じなどの自覚症状がみられます。従ってクラミジアを早期発見するには、パートナーの男性に痛みや膿が出たときに婦人科を受診することが大切です。また、淋菌感染症による不妊も性器クラミジア感染症に次いで多いので、早期の受診が必要です。