口・鼻・のど ハウスダストによる症状
室内のダニやホコリなどのハウスダストに対するアレルギー反応は、主にくしゃみや鼻水を引き起こします。アレルギー反応とは、体内に侵入しようとした外敵を追い出そうとする、本来人の体に備わっている免疫反応です。ハウスダストは、皮膚炎、鼻炎、結膜炎や喘息などの原因にもなります。
日本の住宅にいるダニの約90%をしめるヒョウヒダニ。なかでも、その一種であるヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニの2種類が主な原因となります。家のホコリをはじめ、人やペットの毛などをエサとして繁殖するこのダニは、死骸もハウスダストによる症状を引き起こす最大の原因となっています。
家の中のホコリには抜け毛やフケ、ゴキブリなど虫の死骸やフンが含まれていて、これらがハウスダストによる症状を引き起こす原因となります。また、これらのハウスダストを放置しておくとダニの栄養源となり、さらにダニを増殖させて、ハウスダストによる症状を悪化させる悪循環が生まれます。
お風呂場やキッチン、家具の裏の壁など、湿度の高い場所に目に見えるほどのカビがはえていたら、その胞子が大量に発散し、空気中に浮遊している可能性があります。そのカビの胞子や室内の細菌もハウスダストによる症状を引き起こす原因の一つです。現代の住まいは密閉度が高く、湿度も高いためカビや細菌が繁殖しやすくなっています。
代表的なものでは、スギやブタクサの花粉があります。地域や年によっても異なりますが、スギの花粉は2~5月頃、ブタクサの花粉は8~10月頃に飛散します。この時期に窓を開けていたり、外に布団を干していると、家の中にも花粉が入り込み、ハウスダストによる症状の原因になります。
アレルギーの原因物質が体内に侵入して、アレルギー反応を引き起こし、鼻の粘膜に炎症を起こします。突然、発作のようなくしゃみが続いたり、水のような鼻水、鼻づまりなどの症状を引き起こします。アレルギー性鼻炎にはハウスダストが原因の通年性と花粉が飛散している時期に起こる季節性があります。
アレルギー性結膜炎は、アレルギーの原因となる異物が結膜に入ることで目に充血や強いかゆみが起きる疾患です。結膜がむくんで白目の部分がブヨブヨになることもあります。ハウスダストが原因の通年性のものとスギなどの花粉が原因の季節性のもがあり、最近ではコンタクトレンズの汚れが刺激になって起きることもわかってきました。
ハウスダストや食べ物などの原因物質によって引き起こされるアレルギー疾患です。乳幼児期は、顔や頭、耳のなどの皮膚がジクジクして赤く腫れ、小児期以降では皮膚がカサカサに乾き、硬くなります。強いかゆみをともなうため、かくことで皮膚に傷がつき、細菌に感染して悪化することがあります。思春期ごろに治まる人が多いのですが、成人以降も続くと慢性化することがあります。
発症のピークは1~2歳で、約8割が未就学期に発症します。症状は、喘息発作時の激しい咳き込み、とくに息を吐いたときの息苦しさですが、息をするたびにのどや胸から「ヒューヒュー」「ゼイゼイ」という狭まった気道を息が通るときの音が特徴的です。約7割は大人になるまでに治まるものの、一度治って再発することもあるので、注意が必要です。
長引く風邪だと思っていたら、喘息といわれることがよくあります。成人の気管支喘息はアレルギーによる気道の慢性的な炎症で、少しの刺激に反応して悪化し、気道が狭くなって息苦しくなります。これが発作で、他に息をするたびに「ヒューヒュー」「ゼイゼイ」という呼吸音と激しい咳き込み、粘り気のある痰、息苦しさなどの症状があります。
できるだけ毎日掃除し、寝室はとくに念入りに掃除をすることが基本です。カーペットなどのダニや花粉を取り除くには排気循環式の掃除機が効果的です。また、カビやダニが繁殖しやすいタオルや足拭きマット、シーツなどはこまめに洗濯するよう心がけましょう。花粉の季節や近くに道路がある場所以外は、窓やドアを開け風通しを良くすることも大切です。
ダニは高温多湿を好み、気温25℃、湿度75%のときに最も増殖します。除湿機や空気清浄機などを利用し、室温は20~25℃、湿度は50%以下に保つように努めましょう。押し入れやタンス、シューズボックスなど湿度が高くなりがちなところは、ときどき風を通して乾燥させたり、除湿剤などで予防しましょう。
現在はダニを防止する寝具が多く販売されています。防ダニ加工の寝具を使用するか、防ダニのカバーをかけましょう。ダニは熱に弱く、50℃以上になると死滅するので、こまめに干したり、ふとん乾燥機にかけるのも効果的です。
ペットを飼う場合は、抜け毛や汚れがペットの体に溜まらないように定期的にシャンプーして清潔な状態を保ち、ダニの発生を防ぎましょう。また、ペット用のダニ予防薬や駆除薬を活用することもおすすめです。
外出から戻ったときは、家に入る前に玄関先で服などについた花粉を払い落としましょう。また、すぐに手や顔、目、鼻を洗い、うがいをすることが大切です。洗濯物はできるだけ乾燥機を利用するか部屋干しで。布団を外に干したときは、よく花粉を払い落としてから取り込み、さらに掃除機をかけて残った花粉を吸引しましょう。
アレルギーの原因を徹底的に避けることが重要です。ハウスダストによるつらい症状を和らげるためにも、こまめな部屋の掃除と、室温と湿度の調整によって、アレルギーの原因であるカビやダニ、ホコリなどをしっかり取り除きましょう。
アトピー性皮膚炎の人は、皮膚のバリア機能が弱まっています。小児期以降では皮膚を乾燥から守って、バリア機能をどう改善できるかがキーポイント。つまり保湿ケアが基本です。悪化や再発をさせないためには日常生活では保湿外用薬を使ったスキンケアを続けてバリアを低下させないようにするとともに、皮膚への刺激をできるだけ避けるようにしましょう。
気管支喘息の発作が起こった場合、まずその発作の程度をきちんと把握することが重要です。呼吸の状態、いつもの発作との比較、立つ、歩く、食事をするなどの日常動作にどのくらい支障があるのか。どの程度の発作なのかを見極め、落ちついて判断して対応しましょう。また、子どもが発作を起こしているときには、意識や会話レベルの観察も同時に行い、早めに症状を落ち着かせることが大切です。
アレルギー症状を引き起こすヒスタミンの働きや粘膜の炎症を抑える内服薬で、鼻の症状やのどの痛みを緩和することができます。鼻の不快感を緩和するスプレータイプの点鼻薬や目のかゆみ、充血を緩和する点眼薬もありますので、薬剤師や登録販売者に相談のうえ、自分に合った薬を選びましょう。
かゆみや鼻づまりで眠れないなど、日常生活に支障をきたすような場合は、耳鼻咽喉科や眼科、皮膚科、アレルギー科で診察を受けましょう。ただし、とくに目の症状がつらい場合は眼科、皮膚症状なら皮膚科、せきや全身症状のある場合は内科など、症状に応じて診療科を選ぶことが必要な場合もあります。
「綺麗にしているつもりでも、なかなか症状が良くならない」そんな場合は、普段の掃除方法を見直してみましょう。 掃除機は、絞ったぞうきんなどで床を拭いてからかけるのがおすすめです。布団に掃除機かけをする場合には、1回あたり20秒以上のペースでしっかりしましょう。天日干しの後、両面にかけると良いでしょう。 また、空気を入れ替えるだけでもダニは減少します。ただし、花粉症の方はその季節だけは避けるようにしてください。