さまざまな病気

胃・腸 過敏性腸症候群


腸に炎症やポリープなどの疾患がないのに、慢性的に腹痛をともなう下痢あるいは便秘が起こり、排便すると痛みが軽くなるのが特徴的な疾患です。ストレスにともなう自律神経の異常によって、腸のぜん動運動に障害をきたすことで起こります。現代社会に急増しており、定期的にひどい便秘に悩まされたり、緊張するとお腹を下すという人の多くがこの過敏性腸症候群ではないかともいわれています。

日常生活から考えられる原因

不安や緊張などの精神的ストレス

不安を感じたり、緊張したときに急にお腹が痛くなったりトイレに行きたくなることは誰にでも起こります。しかし、1年位にわたり頻繁に起こるようなら過敏性腸症候群の可能性もあります。脳と腸は深い関係があるので、脳が強いストレスを感じると、腸のぜん動運動に異常が生じ、下痢あるいは便秘の症状を起こすことがあります。

過労や睡眠不足などの身体的ストレス

過労や睡眠不足によって体が疲れたり、食事が不規則な生活が続くと体がストレスを感じ、腸のぜん動運動に変化が生じます。異常に活発化して下痢を引き起こしたり、逆にぜん動運動が鈍くなって便秘を引き起こすことになります。

過敏性腸症候群の症状

腹痛をともなう下痢や便秘

過敏性腸症候群には、下痢型と便秘型、そして下痢と便秘が数日ごとに交互にあらわれる交替型があります。下痢型では、急激な腹痛と便意をともなう1日3回以上、水のような便が排泄されます。便秘型では、週3回以下に排便回数が減少します。排便時には腹痛をともない、強くいきまないと便が出ないことがほとんどです。便が出てもウサギの糞状の硬いコロコロとした便で、残便感が残ります。

日常生活でできる予防法

ストレスを軽減する

過敏性腸症候群は、ストレス社会に起こる現代病ともいわれています。そのため、ストレスを溜めないようにするのが一番の予防法です。多忙な毎日を過ごしていても、家に帰ったら読書やテレビを楽しむ、ゆっくりとぬるめのお風呂につかるなどの息抜きの時間を持つようにして、ストレスを軽くする生活を心がけましょう。

規則正しい生活を送る

毎朝決まった時間に起きて、なるべく同じ時間に3食きちんと食べることで、体のリズムが整っていきます。睡眠時間が足りなくてつらいときは、朝日を浴びるとスッキリと目覚めることができます。また、短い時間でも深い睡眠を得られるように自分に合った枕を選ぶなど、睡眠環境にもこだわってみましょう。

対処法

腸をいたわる食生活を心がける

下痢を起こすタイプの人は冷えた食事や飲み物、そしてなるべく牛乳などの乳製品や高脂肪の食事も避けて、腸に刺激を与えないようにしましょう。便秘を起こすタイプの人はキャベツやゴボウ、バナナ、納豆などの繊維が豊富な食品を積極的にとって、自然にお通じを促しましょう。

市販の薬を使う

下痢が続くというときは下痢止めや、下痢に効果があるとされる漢方薬を服用してみましょう。便秘の解消には、便秘薬や健胃消化薬が有効です。とくに漢方薬は自然に近いお通じを促すのでおすすめです。また、腸内のバランスを整える効果がある乳酸菌が含まれた整腸薬などもいいでしょう。

病院で診察を受ける

腹痛をともなう激しい下痢あるいは便秘が続くときは、腸の疾患が隠れていることもありますので、主治医や消化器科、胃腸科に相談してみましょう。ストレスが強いようなときは、心療内科も受診の対象になります。

不意なおなら、過敏性腸症候群かも?

過敏性腸症候群によって腸の運動に異常をきたし、頻繁におならが出てしまうことがあります。下痢や便秘よりも、このおならの症状に苦しんでいる人もかなり多いといわれています。重症になると、意識していないのにおならの臭いが漏れるようになり、日常生活に支障をきたすにも関わらず、恥ずかしさからなかなか医療機関にもいけない人が多いようです。このような症状に悩んでいる人は、一度医師の診察を受けてみましょう。