さまざまな病気

胃・腸 胃もたれ


食べたものが胃から十二指腸へなかなか排出されず、胃の中に留まっているために胃が重く感じる、むかつくなどの不快感などの症状があらわれることを胃もたれといいます。主に胃から十二指腸への排出機能の低下によって起こりますが、慢性的に胃もたれを感じるようなときは、疾患が原因になっていることもあります。げっぷをともなうことが多くあります。

日常生活から考えられる原因

食べすぎ飲みすぎ、刺激の強い食べ物やアルコール

暴飲暴食をしたり、消化しにくいものを食べると、消化不良になり胃もたれが起こることがあります。とくに脂っこいものは胃から十二指腸への排出が遅いので、胃もたれを起こしやすくなります。またアルコールやタバコ、香辛料、果汁、炭酸飲料のとりすぎも胃もたれの原因になります。

胃の排出機能の低下

運動不足や加齢によって、胃の排出機能が弱まると、食べ物が長い時間胃に滞留することになりますから、胃もたれを引き起こしやすくなります。またタバコに含まれるニコチンも、胃の排出機能を低下させます。

ストレスによる自律神経の乱れ

ストレスを受け続けると胃や十二指腸の働きをコントロールしている自律神経が乱れ、胃から十二指腸への排出の役割を果たすぜん動運動に異常をきたすことがあります。それにより、排出機能が低下して胃もたれを引き起こします。

胃の粘膜を傷つけるピロリ菌

ヘリコバクター・ピロリ菌は胃の強い酸の中で生息する細菌です。このピロリ菌は胃酸から身を守るために常にアンモニアを出し続けています。ピロリ菌が粘膜を傷つけるメカニズムには多くの説があり、複数のメカニズムが絡んでいると考えられています。一つには、ピロリ菌が出すアンモニアが胃の粘膜を繰り返し傷つけ、慢性胃炎を繰り返し、胃もたれの原因になります。また、粘膜が直接胃から分泌される胃酸と消化酵素にさらされ、胃潰瘍に進行していくと考えられています。

胃もたれをともなう疾患

胃下垂・胃腸虚弱(胃アトニー)

胃が正常な位置より垂れ下がった状態が胃下垂です。自覚症状がなければ胃下垂そのものは疾患ではありません。しかし、あまり垂れ下がりすぎると胃のぜん動運動が正常に行われなくなり、胃の働きが低下します。これが胃腸虚弱で、胃もたれ、吐き気、便秘などの症状があらわれます。

慢性胃炎

主にピロリ菌、慢性的なストレスや食べすぎ飲みすぎで起こると考えられています。胃の粘膜が弱まり、炎症が繰り返されて治りにくくなっている状態です。突然胃痛や吐き気が起こり、多くは胃もたれや胃痛、胸やけ、膨満感、吐き気、げっぷなどの症状が慢性的に繰り返され、胃潰瘍に進行することもあります。

この疾患・症状に関連する情報はこちら。

胃炎

胃潰瘍

ピロリ菌やストレス、非ステロイド性消炎鎮痛剤、ステロイド薬などが胃粘膜に傷をつけ、さらに消化作用を持つ胃酸・消化酵素が胃粘膜や胃壁を消化することにより起こります。特徴的な症状は、みぞおち周辺のズキズキとした重苦しい痛みです。胃潰瘍は胃に入った食べ物が潰瘍を刺激して痛むので、食事中から食後の痛みが多くなります。その他、胃もたれや胸やけをともないます。

十二指腸潰瘍

ピロリ菌やストレス、非ステロイド性消炎鎮痛剤、ステロイド薬などが粘膜に傷をつけ、さらに消化作用を持つ胃酸・消化酵素が十二指腸の粘膜や壁を消化することにより起こります。

予防法

脂っこい食事を控える

食事は、脂っこいものばかりを食べないように注意し、よく噛んで食べ、量は腹八分目を心がけましょう。また、不規則な時間に食事をとることは胃に負担をかけますから、規則正しい時間に食事をとるようにしましょう。また胃の粘膜を刺激し、胃の機能を低下させる強いアルコールやタバコはなるべく控えましょう。

食後に休息をとる

食べ物を消化するためには多くの血液が必要です。食後すぐに仕事をしたり、外出したり、お風呂に入るなど体を動かしてしまうと、消化に必要な血液が手足に流れてしまいます。食後30分はゆっくりと休む習慣をつけましょう。

ピロリ菌を除菌する

病院でピロリ菌検査を受けると、ピロリ菌感染の有無がわかります。いくつか検査方法がありますが、吐いた息で検査するなど、比較的どれも簡単なものです。そして、このピロリ菌は病院で処方された薬を服用するだけで痛みもなく除去することができます。除菌をすることにより、慢性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍、さらには胃がんを予防することや、潰瘍の再発を抑える効果も認められています。

対処法

胃のぜん動運動を促進するマッサージをする

胃もたれが気になるようなときは、お風呂につかってマッサージをしましょう。湯船の中で両膝を立てて座り、口をあけてゆっくりと息を吐きながら指先で肋骨の下をもみこむと、ツボが刺激されて胃の機能が回復されます。

市販の薬を使う

食欲不振や食べすぎ飲みすぎによる胃痛、胃もたれ、胸やけ、腹部の膨満感などには胃腸薬を服用してみましょう。また、ストレスからくる胃痛、下痢、のどのつかえ感などの胃腸の不具合には、神経性胃炎の効能のある胃腸薬や、最近では症状ごとに選べる新しいタイプの漢方処方の胃腸薬もあります。

病院で診察を受ける

胃もたれが慢性化しているときは、疾患が隠れている場合がありますので、主治医に相談するか内科、消化器科、胃腸科の診察を受けましょう。

胃もたれしない外食のコツ

日々の忙しさに追われて、外食が多いという人も多いはずです。外食の場合でも、胃もたれしないための三カ条を守って、胃腸の健康を守りましょう。 第一はご飯だけでお腹いっぱいにしないよう、丼ものだけの献立は避けて野菜の小鉢などを1品追加することです。第二は煮魚や野菜の煮物など、味付けが濃すぎず柔らかい食品をメインにすることです。これらの品は、栄養、消化の両面で優れています。そして第三は、ゆっくりできるお店を選ぶこと。早食いは胃もたれの元になります。しっかりと噛んで食べられ、食後も適度に休憩できるようなお店を選びましょう。