目 コンタクトレンズによるトラブ
コンタクトレンズを長時間装用し続けたり、汚れたまま使用したりすると、角膜を傷つけたり、細菌感染やアレルギーなどを起こしやすくなります。このようなトラブルが起きると、目の充血や痛み、異物感、しみる、かすむ、目やにが出るなどの症状があらわれます。
コンタクトレンズは角膜の表面に直接かぶせるものです。レンズで角膜に長時間フタをしている状態が続くと、涙が角膜に十分に行きわたらなくなって酸素や栄養が不足し、角膜障害を起こすことがあります。
正しく洗浄・消毒を行わず、汚れたコンタクトレンズを使用していると、細菌に感染しやすくなります。とくにソフトレンズは水分をよく吸収するため、水道水で洗うと水中にいる微生物も一緒に吸着してしまい、細菌感染を起こすことがあります。また、煮沸をしないコールド消毒の場合は、感染症の原因となるアメーバ類が生き残ってしまうおそれがあります。
コンタクトレンズの洗浄が不十分だったり、乱暴に扱うことで変形したり傷がついたレンズを使用すると、角膜の表面を傷つけることがあります。放置すると、そこから細菌に感染して、重症の場合には失明に至ることもあります。また、最近はアレルギーによる角膜損傷も注目されています。
目を酷使したり、乾燥した室内に長時間いると、目の表面を潤している涙が蒸発したり、涙の分泌量が減ったりします。また、コンタクトレンズが角膜を覆うことによって涙が角膜に行きわたらなくなり、より乾燥しやすくなります。その結果、角膜に供給される酸素や栄養素が不足してドライアイになり、目の疲れやかゆみ、ゴロゴロとした異物感、充血が引き起こされます。
角膜の表面(上皮)が、コンタクトレンズの装用による圧迫が原因で酸素不足になり、むくみやただれが生じます。初期は目がゴロゴロとしたり、しみるなどの比較的軽い症状があらわれます。しかし、ただれの生じた上皮が剥がれると角膜上皮剥離に進行し、その剥がれた部分から細菌に感染しやすくなります。
コンタクトレンズが汚れていたり、長時間の使用によって涙が不足すると、角膜の表面に傷がつき、細菌やウイルスに感染して炎症が起きます。これを角膜炎といい、目の異物感や痛み、充血などの症状があらわれます。角膜炎が悪化し、角膜の上皮の一部が欠損するのが角膜潰瘍です。放置すると視力障害に繋がるおそれがあります。
花粉やハウスダストなど、アレルギーの原因となる物質が結膜に入ると、その刺激でアレルギー反応が起こり、充血やかゆみなどの目の症状が起こります。最近では、コンタクトレンズの材質も原因になると考えられています。
コンタクトレンズは正しい洗浄方法や装用時間を守って、適切に使用することが大切です。レンズを洗うときには水道水ではなく、コンタクトレンズ用洗浄液を使ってこすり洗いをし、消毒・保存液の中に決められた時間、浸しておきしましょう。
コンタクトレンズを装用すると目が乾きやすくなります。加湿器や濡れタオルを干すなどして、室内の湿度を調整しましょう。また、意識的にまばたきの回数を多くして涙の分泌を増やしたり、涙と同じ成分の塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムが含まれている点眼薬をさして目を潤しましょう。
目に疲れを感じたら、コンタクトレンズをはずした後に目の周辺をマッサージするだけで楽になります。目を閉じて、両手の親指を眉毛の下に置きます。そのまま目の周囲にある骨に沿って、指を滑らせるようにマッサージします。このとき、目に圧力をかけすぎないように注意しましょう。
目の充血や痛み、ゴロゴロするなどの異物感、しみるなどの異常を感じたら、角膜に傷がついているおそれがありますので、すぐにコンタクトレンズをはずしましょう。
コンタクトレンズによるトラブルは、放置すると危険なものもありますので注意が必要です。定期検査を怠らず、目の不調が続くときは、必ず病院で診察を受けましょう。
ハードレンズは角膜への負担が少ない半面、異物感が強いのが難点です。ハードレンズの中でも、酸素透過性のものは装用感は良いものの、変形・破損しやすく汚れもつきやすくなります。 ソフトレンズは装用感の良さが特長ですが、目の異常に気付きにくく、乾燥に弱い、汚れやすいのが欠点。使い捨てソフトは洗浄が不要ですが、コストがかかります。また、汚れが吸着しやすく、指定の期限を超えて使用したり、着けっぱなしにしてトラブルを起こす例が増えています。 コンタクトレンズは特性をよく考えたうえで選ぶようにしましょう。