胃・腸 ストレス
外部からのさまざまな刺激(ストレッサー)によって心や体に負担がかかることで、心身に歪みが生じることをストレスといいます。ストレスは、不眠やうつ、胃痛や頭痛、さらには胃・十二指腸潰瘍など、心と体に不調を引き起こします。
仕事が多い、仕事時間が長く休日が少ないなど量によって生じるストレスがあります。また、やりがいが感じられない、ノルマや責任が重い、技術的に難しいなど、仕事の質によってもストレスを感じます。仕事が忙し過ぎたり、合わなかったりするとストレスが生じますが、逆に暇すぎてもストレスが生じることもあります。
職場やプライベートな場でも、人間関係によるストレスは大きなダメージを与えます。職場で感じるストレスの原因の第一位に、人間関係が挙げられているほどです。
パソコンが苦手でなじめないテクノストレスは、現代社会に適応できない不安とか焦りや、同じ姿勢で長時間にわたりモニターを凝視、操作し続けることなどから起こります。逆に、パソコンのない生活に不安を感じたり、人間同士のあいまいさに我慢がならなくなり人づきあいに支障をきたすといったテクノ依存症というストレスもあります。
競争心が強く、攻撃的でせっかちな人、真面目で何事も完璧にこなさないと気が済まない人はストレスが溜まりやすいといえます。また、緊張や不安、不快な感情などをストレートに表現できず、自分の感情を抑えたまま、過剰に適応しようとする人もストレスを溜め込みやすいタイプです。
睡眠によって心身を休めることで、ストレスを癒すことができます。しかし、何かのきっかけで睡眠不足が続くと、それ自体が大きなストレスになり、今度は不眠を引き起こすという悪循環に陥ることがあります。
食べすぎ飲みすぎやストレス、ウイルス、ピロリ菌の感染、食中毒、アレルギーなどが原因で胃の粘膜がただれ、みぞおちが突然キリキリと痛むことがあります。胃痛の他に、吐き気や下痢をともなうこともあり、ひどい場合は嘔吐や吐血、下血を起こすこともあります。多くの場合、安静にしていれば2~3日で治まります。
原因の約8割がピロリ菌の感染によるものですが、その他、非ステロイド性抗炎症薬の副作用や慢性的なストレスなども原因になると考えられています。胃の粘膜が弱まり、炎症が繰り返されて治りにくくなっている状態です。突然胃痛や吐き気が起こり、多くは胃もたれや胃痛、胸やけ、膨満感、吐き気、げっぷなどの症状が慢性的に繰り返され、胃潰瘍に進行することもあります。
仕事などによる精神的なストレスや過労が原因となり、自律神経がバランスを崩して起こる胃炎です。ストレスを受けて、自律神経がバランスを崩すと胃酸が過剰に分泌され、気分がふさぐ、のどがつかえる、胸やけがする、胃が痛むなどの症状を引き起こします。
ピロリ菌やストレス、非ステロイド性消炎鎮痛剤、ステロイド薬などが胃粘膜に傷をつけ、さらに消化作用を持つ胃酸・消化酵素が胃粘膜や胃壁を消化することにより起こります。特徴的な症状は、みぞおち周辺のズキズキとした重苦しい痛みです。胃潰瘍は胃に入った食べ物が潰瘍を刺激して痛むので、食事中から食後の痛みが多くなります。その他、胸やけや胃もたれをともないます。
ピロリ菌やストレス、非ステロイド性消炎鎮痛剤、ステロイド薬などが粘膜に傷をつけ、さらに消化作用を持つ胃酸・消化酵素が十二指腸の粘膜や壁を消化することにより起こります。
精神的ストレスや情緒不安定などが原因で、腸のぜん動運動に異常が起こり、腹痛をともなう慢性的な下痢や便秘などを引き起こします。ときに下痢と便秘が交互に起こることもあります。何週間も下痢が続いたり、一時的に治まり、その後再発するという現象を繰り返すこともあります。検査で調べても、目に見える異常が認められないのが特徴です。
とくに疾患が見当たらないのに、床についてもなかなか眠れない、熟睡できず途中で何度も目が覚める、朝早くに目覚めてその後寝付けない、悪夢にうなされるといったこともあります。熟睡できないため疲労感がとれず、朝起きる気力が出ないなど日常生活に支障をきたすような状態が続くのが不眠症です。
特別な疾患がないのに、だるさや疲れがとれず、気力が低下したり、落ち込んだりして興味や楽しい気持ちを失い、それを自分の力で回復するのが難しい状態に陥るのがうつ病です。食欲の減退、睡眠障害、集中力の低下をはじめ、体の動きが鈍ったり、逆にイライラして焦る気持ちが強くなったり、疲れが激しくなるなど、心と体の双方に症状があらわれます。
ストレスなどが原因で自律神経が乱れ、心や体に不調があらわれた状態です。不安や緊張、抑うつなどの心のトラブルや、多汗、全身の倦怠感、頭痛、肩こり、手足のしびれ、動悸、不整脈、めまい、不眠などの症状があらわれます。あらわれる症状は人によって大きく違うのが特徴です。
スポーツや趣味に没頭するなど、実生活とかけ離れた行為に集中したり、普段の生活圏を離れ自然の中で森林浴をするなど、心身のリフレッシュを図りストレスを改善することで、普段の状態を取り戻すことができます。
一人で悩んでいると不安の種は大きくなります。誰かにストレスの原因を話すことでストレスを軽減させることができます。自分を理解し精神的に支えてくれる人をもっておくことが大切です。
目の前のことだけに集中する、気がかりなことは紙に書いて頭に残さない、休日は仕事を忘れて過ごす、悩みがあったら親しい人に早めに相談するなど、自分なりの対処法を身に付けて、ストレスが溜まらないうちに解決するようにしましょう。
質の良い眠りがストレスから心身を守ることに繋がります。寝る前は、重すぎる食事や過度のアルコールは避け、リラックスして嫌なことは考えないようにしましょう。就寝前に、ぬるめのお風呂にゆっくり入るのも効果的です。
好みの音楽を聴くことで、筋肉の緊張が解け、リラックス感が得られます。またペットを飼うことは、一人暮らしの寂しさを癒したり、一緒に遊ぶことでリラックスが得られるなどストレス解消に役立ちます。
ビジネスのノウハウ本には、仕事に関するストレスを軽減するヒントが書かれています。自分に合ったストレス対策を見つけるためにも、読んでみるのも良いでしょう。
ストレスに負けない心をつくるには、自分と向き合うことが大切です。ストレスの原因がどこにあるかなど現状の問題点を冷静に洗い出してみましょう。ひとつのことに集中して全力を注ぐ、プラス思考を心がけてネガティブなことを言わない、成功した自分を繰り返しイメージするといった方法も効果的です。急に考え方を変えるのは難しいものなので、無理をせず、少しずつ始めると良いでしょう。
体の力を抜き、お腹をへこませながら息をゆっくりと吐き続け、吐き切ったら息をいっぱいに吸い込む腹式呼吸を繰り返す習慣をつけると良いでしょう。自律神経のバランスを整え、リラックス状態をつくり出すことができます。
ストレスには、十分な休息が必要です。「怠けている」と思わず「いますべきことは休むこと」と割り切って、気持ちを楽にして何もしない時間をつくるように心がけましょう。
頭痛には鎮痛薬、下痢には止瀉薬、不眠には睡眠導入薬というように、対症療法としてOTC医薬品を利用することができます。また、ストレスからくる胃腸の不具合には、漢方処方の胃腸薬を服用してみましょう。また、体の疲れを感じたときの栄養補給として、ビタミン剤や栄養補給剤など、さまざまなものが活用できます。ビタミンB誘導体、ビタミンB、Bなどの成分が体の疲れに効果をあらわします。
ストレスによる激しい胃腸の痛みは内科や消化器科を、気分の大きな落ち込みは心療内科や精神科を受診しましょう。しっかり話を聞いてくれる医師や臨床心理士を選ぶと良いでしょう。また、主治医に相談するのも一つの方法です。
本当は過度にストレスが掛かっているにもかかわらず、本人は「ストレスがない」と感じていることがあります。 また、心のストレスといえば、いやな出来事や哀しいことによって起こると思いがちですが、結婚、昇進など本人にとってはうれしい出来事でもストレスが生じることも少なくありません。こうしたストレスは、気づくのが遅れがちです。「何となく調子が悪い」といった心身の不調のシグナルを見逃さないようにしましょう。